奨学金を借りて投資をするのはアリかナシか

奨学金を借りて投資をするのはアリかナシか

こんにちは。今回は大学生にとって縁の深い奨学金についての記事です。

奨学金を借りる学生は近年増加しており、日本学生支援機構によると大学生と大学院生のおよそ5割が奨学金制度を利用しているそうです。ちなみに僕も借りてます。

さて今回はネット上でときどき見かける奨学金を投資に回せば、お金のない大学生でも資産を形成することができるというアイデアについて僕の考えを書いていきたいと思います。

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結論:奨学金を投資に回すのはアリ

最初から結論を言いますと僕の意見としては奨学金を借りて投資を行うことはアリ、それも将来の資産形成にかなり有効な手法だと思います。投資というのは時間を味方につけるものなので、若いうちから投資を始めることができるメリットはかなり大きいと言えます。

しかし多くの人が奨学金投資に関してまず最初に感じるのは、そんなことをしていいのか?道義に反しているのではないか?という感覚だと思います。

奨学金は学問のために使うもので、それ以外の用途、ましてや金儲けの手段として利用するのは良くないのでは?と考える人は多いと思うので、そのあたりに焦点を置いて「奨学金を投資に回すのはアリ」という結論を出すに至った僕なりの考えを書いていきたいと思います。

 

奨学金は勉強のためのものだから投資してはダメ?

見出しのように考える人は結構多いのではないでしょうか。実際ネットやSNSでは奨学金を借りて投資に回すことに対して否定的な意見が目立ちます。その多くは本当に奨学金を借りるべき人が借りられなくなる、といった内容でした。

本当に必要な人が借りられなくなる?

では「本当に奨学金が必要な人」というのはだれが決めるのでしょうか。当然これは奨学金を貸す側が決めることです。

奨学金を貸す側である日本学生支援機構は、親や本人の年収、学校での成績をもとに貸与する資格があるかどうか学生を審査しています。当然公的な書類も提出し、奨学金を必要とする理由についても詳しく説明する必要があります。

そういった審査に合格して奨学金を借りた人に対してさらに”学問に関係ないところで金を使ってはならない”という勝手な基準を第三者が押し付けることが正しいとは思えません。

もしその人たちの言うところの「本当に奨学金が必要な人」が奨学金を借りられなかったのなら、機構の審査基準に対して抗議するべきであって奨学金を借りた人の使い道に対して文句を言うのはおかしな話です。

借金なのに…ではなく、借金なんだからいい、と考える

アメリカなどでは奨学金(scholarship)といえば基本的に給付型のものを指します。つまり返さなくていい奨学金ということですね。給付型の奨学金というのは学生の将来に期待した投資のようなものなので、さすがに給付型の奨学金を使って投資をするのはどうかな?という気はします。少なくとも人に積極的に勧めたりはしません。

しかしながら日本でいう奨学金というのは主に貸与型のものを指し、将来自分で返さなければならない借金です。特に奨学金を投資に回そうなんて考えるほど生活に余裕がある人(家庭)が借りられる奨学金は、有利子である第二種奨学金である可能性が高いでしょう。大学で僕が借りているのも第二種です。

第二種奨学金はもう完全にただの借金なので審査に通って借りている以上、その使い道については完全に自由だというのが僕の考えです。

奨学金を借りることと投資をすることは話が別

大学生が奨学金を借りて投資をしている、というとなんだか奨学金を投資のためだけに借りて運用しているように聞こえますが、本当にそうでしょうか。

大学生の収入源は主にアルバイトの給与、親からの仕送り、奨学金の3つに分けられると思いますが、お金に色がついているわけでもなし、どの収入をどの支出に充てたかなんて区別できるものではないはずです。

収入(借金ですが)のひとつとして奨学金を借りていることと、自身の使えるお金の一部を投資に回していることは分けて考えるべき事柄です。このことから奨学金を借りている人が投資をしてはならないという考えは短絡的だと僕は思います。

借金をしているから投資する資格がないという意見は、借金をしている人は権利を一部制限されるべきという意見と同じであり、そんな理由で行動を制限される道理はないはずです。

 

以上の3つが僕が奨学金を借りている人が投資に手を出すことが悪ではないと考える理由です。賛否両論あるとは思いますが、僕はこのように考えています。

 

投資のためにわざわざ奨学金を借りる意味

投資はある程度の投資額が必要

今時はかなり小さな金額から投資を行うことができるので、奨学金をわざわざ借りなくともアルバイト代の一部をつぎ込むだけで投資を経験することはできます。しかし投資の性質上元の投資額が小さすぎると、資産運用の意義を実感できないような、わずかな利益しか上げることができません。

このように学生が資産運用を行うにあたってまず最初の問題点は社会人に比べてまとまった資金を用意することが難しいという点です。社会人の給料のような安定的な収入源がなくては資産を形成するなど夢のまた夢です。

そこで学生がとれる手段が奨学金を利用するというものです。奨学金(有利子)は最大で月12万円借りることができ、これを積み立てていけば社会人にも劣らない資産形成ができます。

利息がかなり低く設定されている

奨学金のメリットは有利子である第二種奨学金であっても利息がかなり低めに設定されているということです。この性質から、長期投資に利用することも視野に入れることができます。

奨学金投資というと多くの人は在学中の4年間で利益を出して、元本は卒業後すぐに一括返済するものだと考えるでしょうしかしそれではたったの4年間しか複利の効果を得られず、正攻法の投資ではボーナスくらいの金額しか手元に残りません。さらに4年間という短い期間では投資のタイミングによっては損失を出してしまう可能性もあります。

株式投資は期間を長くとるほど勝率と期待値が増大していく性質があるため、せっかく奨学金という低い金利のお金を借りている以上、より長い時間を投資しておきたいところです。

奨学金は借りた金額にもよりますが、20年ほどかけて返済することを想定して返済プランが立てられているので、この20年間ずっと投資しておくとどうなるか考えてみましょう。

例として月10万円、利息0.14%(平成30年貸与終了固定金利)の奨学金を借りてそれをそのまますべて米国株インデックス投資に回したときの利益を考えてみます。過去200年間成長を続けている米国株インデックスの生み出す利益は年率実質リターンは6.7%で推移し続けているので、これをもとに計算してみると、4年間の積立期間+20年間の複利効果でおよそ2018万円ほどの資産が形成されました。ここから返済した奨学金の金額4,870,967円(利子込み)を引くと1500万円強の利益が出ることになります。とんでもないですね。これが複利の力というやつです。

ただしこれは学生時代に積み立てた金を切り崩さずに持ち続けた結果ですから、奨学金返済は給与などから返済し続ける必要があることに注意しなくてはなりません。また、この1500万という金額はあくまで期待値なので、実際にはこれ以上になるかもしれないし、これ以下の結果になるかもしれないということです。

しかしこの試算結果は、投資の意義を学生が理解するのに十分なインパクトがあるのではないでしょうか。

まとめ

以上、僕が奨学金を投資に回すことがアリだと考える理由でした。積極的に人に勧めようとまでは思いませんが、やってみたいという人は挑戦する価値はあると思います。

とはいえやはり投資にリスクはつきものなので自分で勉強してから、投資に挑戦するかどうか考えてほしいなと思います。学生時代に投資をせず、就職してから投資に挑戦しようと考えている人でも、時間のある学生の間に勉強だけはしておいた方がいいでしょう。

投資について興味がわいたという人には「ROKOHOUSE シーゲル流ロジカル投資術」というブログをおすすめしておきます。僕がよく読んでいるブログで、米国株を中心とした分散投資の凄さについて論理的に解説されています。

今回はこれで以上です。それでは。

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