平均年収に騙されるな!メーカー(製造業)の平均年収が低いワケ

平均年収に騙されるな!メーカー(製造業)の平均年収が低いワケ

就活を控えた学生にとって最も気になる情報のひとつが志望している業界の企業の年収についてです。

株式会社は有価証券報告書などで従業員の収入について公開しているので、そういった情報をもとに書籍やネットで各企業の年収データがまとめられています。

さて、このような書籍やネットを使って各業界の平均年収について調べていくとあることに気が付くはずです。

それはメーカー(製造業)の平均年収が大企業の中では比較的低いということ。実際企業の平均年収ランキングでは、上位に名を連ねるのはコンサルや総合商社などで、メーカーは高給で有名なキーエンスやファナックくらいしか名前がありません。

これを見て、工学部は学生時代もレポートやら実験やらで大変なのに、就職後の給料も低いダメな学部だと感じてしまう人がいるかもしれません。

しかしここで工学部に見切りをつけるのは早すぎます。なぜならば、本やネットに載っている企業の平均年収は大卒・院卒で就職する人にとって必ずしも実態に即した数字とは限らないからです。

メーカーで勤務する総合職の人の実際の年収は、ネットや書籍に書かれた平均年収の額よりも高いのです。なぜこのようなことが起こっているのでしょうか?

今回は平均年収のからくりについて説明していきます。

総合職:将来的に管理職になることを期待された幹部候補。事務系(文系)と技術系(理系)がある。一般職:総合職を補佐する職種。定型的・補助的な業務が比較的多い。

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平均年収の定義が統一されていない

まず企業における平均年収の算出方法が統一されていないという問題があります。

年収を高く見せたい企業は、総合職に比べて給料が低い雇用形態の人たちを計算から除外し、さらに役員など報酬が非常に高い人たちを含めた平均年収を算出しています。こうすることによって、学生からの人気を集めより能力の高い人材を集めることができるというわけです。

逆に意図的に平均年収が低くなるように計算している企業もあります。この場合は役員や役職者を平均年収の計算から除外してから算出するなどの工夫をしています。年収を低く見せる理由としては、従業員の給料が高いと顧客や株主に悪感情を持たれる恐れがあるからです。

このように平均年収は企業の考え方ひとつである程度変化させることができるので、就活生は数字を鵜呑みにしてはいけないということです。

 

メーカーの平均年収が実態よりも低く記載される理由

さて次は本題であるメーカーの平均年収が低く計算される理由についてです。

平均年収の計算方法としてよく見られるのが、企業が従業員に支払った賃金の総額を単純に従業員の数で割るというものです。

この方法だと、総合職の社員の割合が高い企業では平均年収が高くなり、現場職や一般職の割合が高い企業では平均年収が低く算出されてしまいます。

そしてメーカーは全国各地に工場を持ち、工場では多くの一般職の人たちが働いています。これにより他の業界に比べて総合職の割合が低くなっているというわけです。

つまり一般職の従業員が比較的多いために平均年収が引き下げられて算出されているわけです。

工学系の学部・大学院を出て就職する場合は大体は総合職としての採用になりますから、実際の平均年収は公表されている平均年収よりも高くなることが見込めるというわけです。

 

実際の年収はどのようにしたら分かるのか

メーカーの平均年収が総合職の人にとっては低く算出されてしまうということは分かりましたが、総合職の人が実際に受け取れる年収はどうやって調べればよいのでしょうか。方法としては次のようなものがあります。

 

就職四季報に載っている総合職平均年収を見る

就職活動用の情報に特化した就職四季報には総合職平均年収を載せている企業があります。こちらは調査対象を総合職に限って基本給、残業代、ボーナス、各種手当を含めた平均年収を掲載しています。こちらは大卒・院卒で入社する人にとって限りなく実態に近い数字になっています。

ただし総合職平均年収はすべての企業が掲載しているわけではありません。専用のアンケートに応えてくれた企業のみの掲載で、その他は計算方法の曖昧な平均年収の掲載に留まっています。そのため、志望する企業が総合職平均年収を掲載しているとはかぎりません。

 

就職・転職の口コミサイトを使う

就職・転職の口コミサイトは実際に働いていた社員が、自身の業種、勤続年数、年収、仕事内容などを投稿するサイトです。自分の志望する会社、希望する職種の人の口コミがあれば、その会社に入ったときどの程度の待遇なのかを知ることができます。

ただし、口コミに投稿された情報が真実とは限らないので、すべて鵜呑みにはせず、あくまでも情報のひとつとしてとらえるべきでしょう。

よく聞く口コミサイトとしてはVorkers、転職会議、キャリコネなどです。口コミを閲覧するためには月額利用料が必要になるようなので注意しましょう。

 

リアルの知り合いに聞く

可能であればこれが最も良い方法ですね。志望する企業で働く知人がいるというケースはあまりないでしょうが、研究室に所属する大学生であればツテをたどってOB訪問などしてもらうこともできる可能性はあります。

自分の研究室や大学の先輩で、志望する企業へと就職した先輩がいないかまずは調べてみると良いかもしれません。

 

まとめ

工学部の主な就職先であるメーカーの平均年収が低い理由と、実際の年収を知る方法についての記事でした。メーカーもまだまだ捨てたものではないと思います。これから就職する学生は、メーカーを就職先のひとつとして検討してみると良いかもしれません。

一例としてトヨタ自動車の総合職の平均年収を計算してみました。やはり総合職のみに限れば1000万円を超えているようです。

トヨタ自動車 総合職の年収を推定する【大卒・院卒】

まだ高校生で進路に悩んでいるという人には電気電子工学科をおすすめしておきます。メーカー就職を狙うなら工学部の電気電子工学科か機械工学科のどちらかへ進学するのが一番の近道です。この2つの学科は就職にめちゃくちゃ強いですからね。「電気電子工学科って何が学べるの? 現役大学院生が答えます」という記事を読めば、どんなことを学ぶのかイメージできるようになると思うので興味がある方はどうぞ。

電気電子工学科って何が学べるの?現役大学院生が答えます

僕もあと1年もしないうちに本格的に就活が始まる予定です。現在進行形で就活をしている修士1年の先輩を見ていると、企業の情報収集、資格勉強、面接対策などやることが盛りだくさんで大変そうです。就活したくないなあ…。

新卒一括採用とかやめてくれれば大学・大学院を卒業してからのんびり就活に励めるんですけどね。

それでは今回は以上です。さようなら!

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