工学部は文系就職できるのか?

工学部は文系就職できるのか?

工学部に進学した学生の大半は、大学で学んだ専門知識を活かした技術職としてメーカー(製造業)に就職することになります。

しかしながら工学部に進学した学生の中には工学系の学問が肌に合わないと感じ、文系総合職として働きたいと考える人もいます。文系就職を希望する工学部生は、大学進学時の進路選択を誤ったとあきらめるしかないのでしょうか。

今回は工学部生の文系就職事情について見ていきましょう。

 

文系職:営業、事務、総務、経理など

理系職:研究、開発、設計、生産技術など

として大雑把に区分けしています。

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工学部の文系就職は可能か?

まず結論から言って、工学部から文系就職することは可能です。技術系の職種と違い、文系総合職の募集要項で学部・学科が問われることはほとんどありません。

工学部出身者は文系学生と比べて課外活動などの経験が少ないため面接でのアピールポイントで不利になると思われがちですが、工学系のアドバンテージとして研究室生活を通して身に付けた忍耐力や論理的思考力、プレゼン能力など文系学部出身者とは違ったアピールポイントがあります。

よって文系・理系で学んだ学問による差は、文系就職においてほとんど影響しないと考えて良いでしょう。

 

工学部生の文系就職における不利

しかしながら工学部生にとって文系就職が簡単というわけではありません。工学部生は文系学生と比べて就活に割くことができる時間が短いからです。

工学部の就活の黄金ルートは、学科または教授からの推薦を使ったメーカー技術職への就職です。推薦の効力によって採用プロセスの手順をいくつか省くことができる(場合が多い)ので、比較的短期間で就職活動が終わります。

教授も学生の就活をそのように認識しているため、就活の時期でも容赦なく研究成果を求めてきます。このような理由から工学部生は自己分析や志望動機の作り込みが、文系学生に比べて浅くなりがちです。

準備不足により面接官の質問に論理的で明快な返答ができなければ、理系なのに論理思考力に欠けると判断され選考で落とされることでしょう。

 

工学部の知識を活かした文系職

純粋な文系職だけでなく、工学部(理系)の強みである技術系の知識や論理的思考力、数字に強いといった特徴を活かした職種もあります。学問そのものが嫌になったのではなく、研究生活が自分に合わないと感じた人は以下のような職種・業種を考えてみても良いかもしれません。

技術営業(メーカー、IT系など)

技術営業とは工学部で学んだ技術系の専門知識を活かして、顧客に営業活動を行う職種のことです。

工業機械や電子部品、IT関連のアプリケーションなど、顧客に対して売り込むにあたり専門的な知識を必要とする商品やサービスを専門に営業を行うため、取り扱う商品に対して深い理解が求められます。

専門知識の他にも顧客から要望を聞き出したり、分かりやすく情報を伝えるためのコミュニケーション能力が求められます。

 

コンサルタント

コンサルは経営や財務、人事など問題を抱える企業に対して、問題を調査・分析して解決策を提供する仕事です。

担当する業種についての専門知識、膨大な情報を扱うための情報処理能力、問題解決のための論理的思考力、提案する解決策の根拠を伝える伝達力など、あらゆる能力が高いレベルで要求されることで有名ですね。

とんでもない激務と非常に高い報酬が約束された職業です。

 

金融系

理系の中でも数学が得意な人は金融系の職業が向いているとされています。

数理統計やデータ分析といった能力は、営業、運用、分析といった職種で構成される金融業界では有利に働くとされています。

さらに、金融系には数学・物理学の修士号・博士号を持った人たちが大半を占めるような金融専門職のアクチュアリークオンツといった職業もあります。(こちらは文系職ではありませんが)

 

まとめ

文系就職において工学部生は理系特有のアピールポイントや希少性を持っている一方で、研究室の拘束時間が長いため就活に使う時間の確保が難しいというハンデを抱えてもいます。

というわけで結論としては「工学部の文系就職は一長一短あるが、総合的には不利ではない」です。煮え切らない答えですみません。しかしながら、もともと就職に強い上に文系就職も可能というのは工学部の大きなメリットだと思います。

工学部への進学を考えている人で、工学系の学問が肌に合わなかったらどうしようかと考えている人も、就職先は幅広く選べるので安心して進学して欲しいと思います。

今回はこれで以上です。それではまた。

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