皆さんは自身の肩について他人から何か言われたことがありますか?
なで肩・いかり肩の人の多くは人生において何度か肩について他人に指摘されてきたことでしょう。他の体のパーツと比較して肩について指摘されることが多いのは、肩という部位が作る印象が強いことの証明だといえるかもしれません。
というわけで今回はなで肩といかり肩についてのお話です。肩は暖かい季節には露出が多くなりがちな箇所であり、また服を着ていてもシルエットが明確に出る部位でもあるので、なで肩やいかり肩といった特徴はその人の印象を大きく左右する要素になります。
なで肩やいかり肩を決定する要因や、矯正する方法があるのかどうか見ていきましょう。
”なで肩”と”いかり肩”とは?
首から肩にかけて僧帽筋上部の作るラインの傾斜が急な肩を”なで肩”、水平に近い肩を”いかり肩”と言います。
なで肩やいかり肩といった言葉には明確な定義があるわけではないので、どのくらいからがなで肩、いかり肩とは言えません。あくまでも平均と比較してなで肩気味、いかり肩気味というだけです。
当然ですが、日常生活に支障をきたさないのであれば病気や骨格の異常ではなく個性の範疇です。ですから気にならないのであれば別段直す必要はありません。
しかし、肩のシルエットは服の着こなしなどにも影響してくるので、目標とする体型を目指してなで肩・いかり肩を補正したいと考える方は多いと思います。
肩の形を決定する要因は?
それでは肩の形は何によって決定されるのでしょうか。結論から言えばこれは鎖骨の長さです。
時折、「鎖骨が胸側から肩側の方に行くにつれ下がっているとなで肩である」という説明されることがありますが、より重要なのは鎖骨の長さの方です。鎖骨が短いほどなで肩になりやすく、長いほどいかり肩っぽくなりやすいのです。
鎖骨の長さが重要であることは肩まわりの骨格の構造から理解することができます。
まず鎖骨は首元にある骨で、胸骨と肩甲骨を繋いでいる骨のことです。肩の外側にある骨は肩甲骨なので、骨格が作る肩幅は鎖骨の向きと長さによって決定されることが分かります。そして鎖骨の向きについては多くの人が水平から少し上向き程度の範囲で収まっていて、基本的に大きな差異はありません。つまり肩周りの骨格を決定するのはほとんど鎖骨の長さだということです。
そして鎖骨が短い人はなで肩に見えやすく、鎖骨が長い人はいかり肩に見えやすいという特徴があります。鎖骨が短いと、僧帽筋が作る肩のラインの傾斜が急になり、逆に鎖骨が長いと僧帽筋のラインが水平に近くなるからです。
骨格は成長を終えた後は変化しないので、鎖骨の長さを後天的に伸ばす、縮めるということは不可能です(外科手術ならできるかもしれませんが)。
骨格が変えられないのであれば、なで肩・いかり肩を矯正する方法はないのか…と思うかもしれませんが、あきらめるのはまだ早いですよ!
矯正する方法はあるのか?
最初の方でも述べたように、なで肩・いかり肩というのは明確な定義があるわけではなく、あくまでも見た目の印象を表す言葉なので、肩周りの筋肉の付け方によって印象を変えることが可能です。
筋肉で解決するのかよ…と思うかもしれませんが、骨格の弱点を筋肉の付け方でカバーするという考え方はフィットネス界では割と普通の考え方です。それでは、なで肩・いかり肩それぞれの骨格をカバーするのに必要な筋肉について見ていきましょう。
画像出典:webサイト「背中の痛み」全解説
ちなみにこれは人体の背中部分の各筋肉の名称です。
なで肩を補正する筋肉
鎖骨が短いために肩幅が狭いことがなで肩に見える原因ですから、肩幅を広くするように筋肉をつければよいということになります。そして肩幅を広く見せるためには三角筋を鍛えることが有効です。
三角筋は腕の付け根に位置する筋肉であり、鍛えることで肩幅を広く見せたり、メリハリのある上半身を作ることができます。三角筋は前部、中部、後部に分けることができ、正面から見た時の肩幅の広さを作るのは主に三角筋中部なので、ここを重点的に鍛えるとよいでしょう。
三角筋中部を鍛える最もメジャーなトレーニングはダンベルを両手に持って、真横に持ち上げる”サイドレイズ”というものです。下の動画は筋トレユーチューバーとして有名なSho fitnessさんのサイドレイズについて解説した動画です。トレーニングの参考にしてください。
ただひとつ注意が必要なのが、三角筋中部のトレーニングは僧帽筋上部へも刺激が入りやすく、僧帽筋上部も一緒に大きくなることがあります。しかし、僧帽筋を大きくするとよりなで肩が強調されて見えやすくなるので、僧帽筋上部を鍛えすぎないように気をつけてください。
なで肩を改善する背中トレーニングについての記事も書きました。「なで肩の改善には背中のトレーニングが効果的! その理由とは?」
肩の筋肉が付くのが嫌だという女性にはこちらがオススメです。よろしければ読んでみてください。
いかり肩を補正する筋肉
いかり肩の人は肩のラインが水平に近いことが問題なので、なで肩の人とは逆に僧帽筋上部を鍛えるのが有効です。僧帽筋を鍛えると首の付け根から肩の外側にかけて筋肉によるシルエットができるので、きれいな肩のラインを作ることができます。
男性であれば肩幅が広いことは男らしさを出すポイントなので、僧帽筋を鍛えて肩のラインを整えることでスーツの似合う肩周りを手に入れることができるでしょう。僧帽筋上部を鍛えるトレーニングとして有効なのは”シュラッグ”です。これは自分が扱える重量のダンベルを両手に持ち、肩をすくめる動作を行うことで僧帽筋上部を鍛えます。難しいことを意識しなくてもできる簡単なトレーニングなのでおすすめです。
ただしいかり肩の人は、はなで肩とは逆に三角筋を鍛えすぎると肩幅がより広く見えていかり肩が強調されてしまうので注意が必要です。
まとめ
以上がなで肩やいかり肩の原因と、それをカバーするのに必要な筋肉についてのお話でした。
よくなで肩やいかり肩の解決方法として肩周りのストレッチが挙げられますが、ストレッチで改善するのは極端に肩周りの筋肉が強張っているような一部の人だけだと思います。
以前までは普通の肩だったのに、いつの間にかなで肩・いかり肩になっていたという人であればストレッチで解決するかもしれませんが、そうでなければ骨格の問題なのでストレッチでの解決は難しいでしょう。
上で挙げた鎖骨の長さについてもそうですが、骨格は完全に生まれ持ったものであり成人してから変化することはまずないので一生付き合って行くしかありません。だからこそ、自分の骨格の特徴を知ってそれを活かすようなトレーニングをすることが必要だと思います。
今回は以上です。それではまた。